惑星(わくせい)クレイ [編集]

地球と似た形の惑星。神や悪魔、ドラゴンや妖精の存在が忘れ去られず、魔法と科学が共に研究され、技術として確立された世界である。
独自の文明を発達させた国家が、各大陸を支配している。

概要 [編集]

 このゲームに登場するユニットが住まう惑星であり、ユニット設定で語られる背景ストーリー、小説「惑星クレイ物語」や短編小説「ユニットストーリー」、そして長編小説『クレイ群雄譚(クロスエピック)』の舞台でもある。このゲームにおけるイメージの中の世界観でもあり、ほぼ全てのユニットのキャラクター設定の舞台になっている概念である。

惑星クレイとは何か [編集]

 実態としては地球とは別の宇宙に浮かぶ惑星であり、いわゆるファンタジー世界。「地球によく似た惑星」上に様々な国家が存在し、それに応じて多様な技術が発達している。

 その中にはサイボーグなどの科学技術も含まれるため地球に似ているかというと疑問も浮かぶところだが、「似た形の惑星」という表現もされているので地球と同じ環境を持った惑星という意味合いだろう(少なくとも地球人が降り立っても問題なく活動可能)。

 ただ、《オラクルガーディアン アポロン》のユニット設定に「ギリシャ彫刻」の表記が見られることから、惑星クレイにとっても別惑星としての「地球」という概念は知られているようである。

 上空から地表を見ると各国家が支配する大陸はいかにも地球の大陸と酷似していることが分かるが、ギーゼと〈ゼロスドラゴン〉による大規模な破壊活動(弐神戦争)や「無神紀」時代における各国家の混乱などで、時代ごとに地形や境界線が大きく変化している。

 基本的にゲームそのものと無関係な背景設定だけに、公式サイトにも深い説明はないが故に、惑星クレイの設定に関しては不明瞭な部分も決して少なくはない。実情はフレーバーテキストや「今日のカード」、そして「公式読み物サイト」における数多の文章から、断片的に窺える程度ではあるが、これらに目を向けたり、イメージしてみるのもこのゲームの1つの楽しみ方といえよう。

惑星クレイ以外の天体 [編集]

 衛星として「星輝大戦」末期に最接近した「遊星ブラント」という星が存在している。この星は元々根絶者の拠点地であったが、大戦終結直後に神格メサイアの「調和と再生」の意志によって、新たなクレイの衛星として受け入れられ、今に至っている。

 その他、月がいくつか存在していたり、《星葬のゼロスドラゴン スターク》のユニット設定には「弐神戦争」でスタークの砲撃で破壊された「一つの衛星(名称不詳)」という存在が言及されていたりするが、特に背景ストーリーで触れられる傾向は少ない。

 また、背景設定上では特に触れられていないが、漫画「みにヴぁんハイ‼︎(みにヴぁんら~じ)」においては、クレイよりも強く直接的にイメージが反映できる「アニヴェルサーリオ」という星が登場する。

地球との関係 [編集]

 言うまでもなく我々にとっては架空の世界だが、漫画やアニメの世界では、共通して一般的には『カードゲーム「ヴァンガード」』の中の架空の世界とされつつも劇中で実在が明言されている。

 原作の背景設定上における惑星クレイでは一貫通して物語が繋がっているが、基本的にカードゲームバトルを題材にしている漫画やアニメでは、各作品毎に独立した世界観を築いている為、それぞれの舞台や世界は繋がっていない。
 しかし、クレイの背景設定上に漫画やアニメのストーリー要素が取り入れられることは度々あり(世界観を完全に共有しているわけではないが)、小説「惑星クレイ物語」及び短編小説「ユニットストーリー」とテレビアニメで語られる惑星クレイに纏わる事柄には、それぞれの繋がりを意識した描写も見られる。ただし、作品によっては必ずしもそうという訳にはいかない傾向も見られる(クランの初出等)。

  • 綺場家の宝刀「フィデス」…アニメ「ギアースクライシス編」においては、クレイ上における《光輝の剣 フィデス》と全く同じデザインの剣が綺場家の家宝として登場しており、綺場シオンが地球と惑星クレイの繋がりについて考えている言及がある。
  • ゼロスドラゴン…「G Z」にてその剣の元々の持ち主が大災厄(背景ストーリーにおける弐神戦争)の終戦後に地球に渡り、ゼロスドラゴンを各地に封印したことについての言及がある(ただし、カード化した経緯については語られていない)。
  • 「レギオンメイト編」における《大いなる銀狼 ガルモール》…クレイ側の設定上では「解放戦争」時に創設されたとされるゴールドパラディンカードが回想シーンで幼少時のガイヤールが同じ孤児院にいた少年から譲り受けたカードとして登場している。
  • 2018年版におけるジェネシス…初出自体は2011年版「リンクジョーカー編」[1]からだが、「新右衛門編」では、無印シリーズの前の出来事(正確には2018年版の前日譚)にもかかわらず、新田新右衛門の高校生時代から既に存在している(ジェネシスに限らず、本来その時代に存在するはずが無いクランも複数存在する)。

 背景ストーリーでの地球に関しては、世界観の共有や混乱を避ける為か、それに纏わる事柄は全て伏せられている。
 惑星クレイ側から見る限りでは、地球は「別の宇宙に実在する異世界」という扱いのようである。小説「惑星クレイ物語」などの一部の媒体では、「惑星E」と呼称されている。

地球との運命力の繋がり [編集]

 クレイの住民だけでは判断ができない事態が発生した場合、「祈り聞く者」と呼ばれる、地球にいる「先導者」の判断を仰いでいる。
 漫画やアニメにおける、「PSYクオリア」はこの「判断」のため、「先導者」の候補となるファイターとクレイをリンクするために発現されるものであり、地球とクレイを繋ぐ「運命力」を五感で読み取るための能力。ユニットの声を聴く、最適なプレイングがイメージとして浮かぶなどの能力はあくまでその副産物である(2018年版の櫂など、イメージ力の上昇により自力で覚醒するファイターもいる)。

 明言はされていないが、運命力の繋がりが発生したのは、アニメ版の過去に当たる時期[2]新導クロノがクレイへの道を偶発的に開いたことが原因であることが示唆されている(この関係からか、クロノは《クロノ・ドラン》をはじめとするギアクロニクルの先導者として位置付けられている)。

 乱暴に言えば、「ファイターがユニットにライドしてクレイで戦う」というイメージ上の出来事が、そのままクレイでも同じように繰り広げられるという形で反映される。一例として2011年版における全ての事件は、クレイにおいてもキーパーソンとなった「祈り聞く者」の分身となるユニットとそのクランが同様の顛末を辿る形で引き起こされている。

 この現象は「運命の修正力」という名称があり、クレイにおいて発生した事象と整合性を取るために地球のファイターたちにも「先導者」を通じて同様の状況をもたらす形で作用する。
 2011年版を例にとると、アジアサーキット編における三クランの消滅、レギオンメイト編におけるアイチに関する記憶の抹消も、それぞれクレイにおける三英雄の封印(=「先導者」との関係の断絶、クランの無力化)と、ブラスター・ブレードのЯ化による存在の変化が反映されたものである。

 「無神紀」の時代で地球との運命力の繋がりは一時的に絶たれたが、その後の「天輪聖紀」時代では、天輪聖竜の覚醒からしばらくして運命の修正力がもたらす現象が復活し、再び「クレイ側の動向がファイターに連動する」兆候が垣間見られるようになっている。

 Dシリーズのアニメにおいては、「overDress」の時点では特に触れられていなかったが、「Divinez」ではこの現象がGシリーズと同等まで回復。この原理を地球側から能動的に利用して暗躍するユニットの存在が判明しており、同時にこれは宿命決戦を収束させるための決め手としても機能している。

惑星クレイの歴史とその変遷 [編集]

 クレイの歴史についてはカードのフレーバーテキストやユニット設定などでいくつか語られる程度に留まっていたが、「世界観コラム ─ 解説!惑星クレイ史」で諸設定が若干程度に追加、補元されるようになった。

 また、時代区分については、新シリーズ以前の背景設定上では明確に言及されていなかったが、「overDress」シリーズへの移行直後に「天輪聖紀」の時代区分が設定されてから、それ以前の時代区分が正式に明かされている。

弐神紀以前 [編集]

 約160億年前、全ての可能性を内包した虚無(ヴォイド)の世界に、「(クレイ)」という名の惑星の誕生から始まる(第2章)。
やがて、ひとつの指向性を帯び「クレイズイデア」と呼ばれる存在が生み出され、最初期の種族「エレメンタル」から様々な生命が進化する(第3章)。

 「創世竜紀」時代では、100億年前の惑星クレイに大きな変化が現れ、神格の源「クレイズイデア」から、最初の神格「始祖創世竜」とその眷属「原初竜」の出現と共に「ドラゴン」を始めとする様々な種族が生まれ、やがてそれぞれが独自の進化を重ねてき、異星生命体と思われる存在との交流などで文明が急速に発展した。しかし「始祖創世竜」の消失と資源の枯渇により、科学文明は衰退を強いられることになる(第4章)。
 別の異星文明側からの継続的な交流が開始されるにつれて、その求めに応じる形で星間犯罪防止に協力する条約が締結され、この条約に基づく相互協力組織(ディメンジョンポリスの前身)が、惑星クレイのクラン誕生のきっかけとなる。古き大国「ズー」のメガコロニーが結成されたのもこの時代とされている。

 70億年前に始まった「弐神紀」時代では、新たなる創世の神《ハーモニクス・メサイア》による調和で、クレイには新たに魔法科学文明が発展を遂げる。だが、法則改変によって生じた「歪み」は肥大化の末、世界全てを滅却しようとする「かつてないほど巨大な虚無」へと回帰。これを《邪神司教 ガスティール》がユニットとして召喚した結果、惑星クレイ史上最大の災厄である虚無の化身・《破壊の竜神 ギーゼ》が降臨したことで、2つの神格を巡る争いが勃発。クレイ全体が火の海と化し、惑星そのものが滅亡寸前にまで追い込まれるほどの大戦争となった。

 結果としてメサイア側が勝利し、敗れたギーゼは、メサイアの手によってどことも知れぬ場所へ封印、表舞台から追放された。この2つの神格による全面戦争は後に「弐神戦争」と呼ばれることになる(第5章・第6章)。
 この際、ギーゼの化身・ゼロスドラゴンとその戦災から救った初代「剣聖 フィデス」は、弐神戦争終結後、共に生命力に満ち溢れていた「重なり合う世界」(惑星E)へと転移して封じられた。

聖竜紀 [編集]

 聖竜紀初期頃、集束点のギーゼを失ったことで拡散した「歪み」によって「次元魔獣(ユビキタスオーガ)」と呼ばれる敵が現れ、これに対抗するためユナイテッドサンクチュアリ内の守護聖竜はそれぞれの騎士たちに力を与えた。だが、人々の心に潜む幾千幾万の暗い感情を見た《探索者 シングセイバー・ドラゴン》《ファントム・ブラスター・ドラゴン》へと変貌し、シャドウパラディンを結成。
 与えられた加護の方向性の違いは両クランの対立の遠因となり、ロイヤルパラディンシャドウパラディンの意見対立は決定的なものとなった。
 二つの騎士団に各国家のクランが合流する一方、次元魔獣(ユビキタスオーガ)の撃滅に優先し事態収束に急ぐシャドウパラディンと人々を守ることで被害の拡大を防ぎたいロイヤルパラディンの意見は平行線をたどり、遂により強大な闇の力を取り込み滅亡させる存在と化したファントム・ブラスターは、《ブラスター・ブレード》《ブラスター・ダーク》の双つの剣の力を束ねて覚醒した《マジェスティ・ロードブラスター》の前に敗れ去った。

 次元魔獣の襲来が収束した直後、虚無の存在の陰謀によってが時空のはざまへ封印され、ロイヤルパラディンシャドウパラディンかげろうも道連れになる形で存在が抹消されてしまう。
 戦力を失ったユナイテッドサンクチュアリドラゴンエンパイア両国が弱体化して混乱に陥る中、その隙に付け込む形で復活した《蒼嵐竜 メイルストローム》率いるアクアフォースが侵攻開始。それに対抗するべくユナイテッドサンクチュアリ《灼熱の獅子 ブロンドエイゼル》 を筆頭にした新騎士団「ゴールドパラディン」を創設、ドラゴンエンパイアも〈サンダードラゴン〉を主力とする新部隊「なるかみ」を編成する。
 「解放戦争」と呼ばれるこの戦いは《光輝の獅子 プラチナエイゼル》らのクラン連合の活躍により、アクアフォースの進撃を阻止することに成功。三英雄が無事に解放されたことで3つのクランも復活した。
 アクアフォースも過ちを償うために再びクレイを守る力として認められた一方、メイルストロームは、封印されている海軍元帥の意志により暴走した影響で敗北後に意識を失ってしまう(その後、彼は後述する「星輝大戦」の最中に自身の“Я”化した意識体が生み出された反動で休眠状態から覚醒を果たしたことが判明している)。

 だが、運命力の消耗と「虚無」の脅威は未だに去っておらず、クレイとは別の世界を「虚無」に飲み込まれた存在が、新たに「リンクジョーカー」として侵略を開始した。
 その勢力に対抗するため、各国家はそれぞれのクランを再編成し「撃退者」や「解放者」、「抹消者」などが結成される。が、リンクジョーカーの用いる「呪縛(ロック)」による被害は想像を上回り、多くのユニットがЯ(リバース)化” されてしまった。
 その頃、《星輝兵 カオスブレイカー・ドラゴン》率いる「星輝兵」は、意思ある者が“Я”する時に生まれるという負のエナジーを糧とする終末兵器を開発。リンクジョーカーは最終的にクレイを完全制圧に追い詰めようとするが、ユナイテッドサンクチュアリの騎士団を筆頭にした連合軍の猛反撃により多くの軍勢が撃破される。なお「星輝兵」撤退直後、《ドラゴニック・オーバーロード》「虚無」に屈することなく己が力にした姿で光の騎士団に立ち塞がるが、決戦の末に解放され元の姿に戻った。
 他方、討伐から逃れたカオスブレイカーはそのまま姿を消したため、彼の撃破は失敗に終わっている。

 最初の侵略計画が頓挫したリンクジョーカーは新たにブラスター・ブレードのЯ化を画策。その次の危機を予言したゼノンは、新たな希望を探し出す「探索者」を編成するが、直後に《星輝兵 ガーネットスター・ドラゴン》率いる別働隊がブラスター・ブレードの捕縛に成功し、《星輝兵 ブラスター・ジョーカー》へと変貌させた(しかし、ガーネットスターは直後《伴星の星輝兵 フォトン》によって殺害された)。
 その結果、ブラスター・ジョーカーの誕生により惑星クレイに改変が発生し、ブラスター・ブレードの存在そのものが失われる事態となり、これを重く見たゼノンは「ブラスター・ブレードのいない別の世界観」から《青き炎の解放者 パーシヴァル》率いる「解放者」たちを呼び寄せた。
 しかし、ブラスター・ジョーカーの体内には虚無の種「シード」が宿っており、もしクレイに帰還すれば先の大戦のような「Яパンデミック」を再び起こしかねない状態であり、やむを得ず時空の間に留まる彼を見守るしかなかった。
一方、書き換わった歴史において宿敵不在ではいられない、ドラゴニック・オーバーロードは煉獄皇竜の名を得て、仲間たちと共に様々な戦場を転戦した末、ついにブラスター・ジョーカーと邂逅(この少し前に《星輝兵 イマジナリープレーン・ドラゴン》率いるリンクジョーカーの別働隊が再度侵攻を開始したが返り討ちにされ壊滅している)。
 オーバーロードと交戦したブラスター・ジョーカーは正気を取り戻し、宿っていた「シード」は粉砕されて飛散し、志を同じくするユニットたちに受けたリンクジョーカーはついに新たなクランとして認められることになった。

 先行部隊による侵略失敗の報復としてリンクジョーカー本隊は、最後の行動を開始。《威圧する根絶者 ヲクシズ》率いる「根絶者」と本拠地である「遊星ブラント」をクレイに差し向ける。「デリート」という力を持つ根絶者の前に、クレイの英雄たちも一方的に蹂躙されてしまうが、危機を察したメサイアはついに覚醒を選択し、根絶者の大半を駆逐した末、遊星ブラントをクレイの衛星として加えることで闘いを終結させた。

新聖紀 [編集]

 星輝大戦後、《ハーモニクス・メサイア》根絶者を撃退した後に力を失い眠りにつき(聖竜紀末期に入ってこれを消し去ろうとする根絶者の残党に襲撃される事件が発生している)、《クロノジェット・ドラゴン》十二支刻獣に守られ、過去と未来を駆け巡る形で逃走を強いられたが、最終的には3000年後の天輪聖紀から送られた運命力の塊を受け取ったことで《ネオンメサイア》として覚醒、この時より新聖紀が始まっている(この過程でクロノジェット・ドラゴンは天輪聖紀を観測しており、ネオンメサイアはこの状況を確定するためのものと、後述の龍樹に関する警告を記した二つの「碑文」を遊星ブラントに残している)。

 新聖紀の始まりと共にダークゾーンから極大の運命力の輝きを放つこの世界線に訪れた「ギアクロニクル」が本格的な活動を開始。ネオンメサイアは新たな姿を差し向け、彼らを見守ることを選択した。
 地球/惑星E側で接続実験[3]が繰り返された影響によりクレイ側で時空超越が頻発。クロノジェットはユナイテッドサンクチュアリを皮切りに、各地にこの事態を制御する「時空超越(ストライド・ジェネレーション)」の理論と技術を提供、中でも《青天の騎士 アルトマイル》《ラナンキュラスの花乙女 アーシャ》は高い超越制御技術を備えた。

 その頃、ユナイテッドサンクチュアリでは、シャドウパラディンの分派を束ねる団長を名乗った《覇道竜 クラレットソード・ドラゴン》が「影竜の乱」と呼ばれる内乱を決行。ジェネシス内の危険因子《神界獣 フェンリル》エンジェルフェザーの「黒衣の葬天使(ブラック・グレイバー)」もクラレットソード側の戦力に加わり反乱軍は強大化。ついに「禁呪超越(オーバー・ストライド)」を編み出したクラレットソードは「分岐しえない未来」から《覇道黒竜 オーラガイザー・ドラゴン》を産み出した。
 しかし、真の意味を理解していたアルトマイルとアーシャが、クロノジェットと共に立ち向かい反乱軍は鎮圧。《クロノドラゴン・ネクステージ》との決戦の最中に、オーラガイザーの力に魅せられて限界を迎えたクラレットソードは絶命した。

 「影竜の乱」収束後、新たなる姿となった創世神の加護のもとで、多くの国家クランが繁栄していたが、《時空竜 バインドタイム・ドラゴン》はかつて十二支刻獣によって潰された野望を今度こそ果たすべく、《機械仕掛けの神 デミウルゴス》復活のために世界を巡り協力者を募り始めた。十数年前に時空の狭間へ封印されていた《クロノファング・タイガー》は地球の先導者との共鳴により生じた時空の穴を押し広げ「ストライドゲート」を開放することに成功。地球に転移した《クロノ・ドラン》含む十二支刻獣たちを捕らえ、バインドタイム・ドラゴンは、あらゆる時空の支配者になること、クロノファングは「完全なる未来」を達成させるのを望むが、地球/惑星Eもクレイもそれを良しとしないクロノジェットらの3人によって阻止され、激戦の末にデミウルゴスは自滅、バインドタイム・ドラゴンもそれの巻き添えになって消滅した。

 ストライドゲート事変終結後、《竜刻魔剣士 ダグザ》を殺害された《覚醒を待つ竜 ルアード》が復讐のために、クロノジェットら3人と交流。
 メサイアはギアクロニクルと協力し、重なり合う世界を安定させるためにクレイのユニットを、地球/惑星Eの「先導者」との協力の上で体を借り受けて運命力の様子を調査をするという計画(所謂、ディフライド)を実行する。
 調査員として《竜胆の銃士 アンテロ》らの3人が送り込まれたが、その間に、弐神戦争以来潜伏を続けていたガスティール使徒たちが最後の暗躍を開始。これに便乗して彼らも密かに地球/惑星Eへ降り立った。
 「レリクス」の《六道忍鬼 アタゴロード》によって移植された邪眼で強大な力を得た《忍竜 シラヌイ》は、ガスティールがクレイの運命が歪んでいると嘘を吹き込んで意のままに操られ、ダグザを殺害。彼は課せられた任務をそのままにしてディフライドを実行したが、その矢先にアンテロがディフライダーごと事故で死亡してしまう。後にシラヌイはガスティールが語った内容が偽りであることに気づき使徒を離反。《崇高なる美貌 アマルーダ》と共に帰還し、使徒の動機についてメサイアに報告した。
 ぬばたまへの襲撃を繰り返していたルアードは、メサイア陣営からダグザの死に関する真実(=シラヌイが本当の犯人では無かったこと)に知ってショックを受けた直後、ガスティールに拉致されてしまった。
 先の大戦(第一次弐神戦争)の封印から解放された海軍元帥のこと《蒼波元帥 ヴァレオス》率いる「旧世軍」がアクアフォースの特殊部隊「蒼波」を制圧し、同じく行方をくらましていた《百害女王 ダークフェイス・グレドーラ》も表舞台での本格的な活動再開に乗り出すなど、使徒の暗躍が一層深刻なものになって行く。

 ガスティール率いる使徒たちは、二つの世界のはざまたる虚無の要塞「レリクス」へ送り込んだルアードを器にして《破壊の竜神 ギーゼ》の復活に成功した。
 メガコロニーや「蒼波(旧世軍)」、「星輝兵」など使徒の軍勢が一斉攻撃を開始し、シラヌイとアマルーダの警告によりメサイアの陣営は使徒の軍勢の奇襲を抑え込むことに成功するも、戦局は悪化を辿る。メサイアはこの時点で対抗できる十全の状態で無くなっている一方、宿敵に対抗できる唯一の手段としてクロノジェットに残りの力を託した。
 一方、アルトマイルは一度失われたはずの聖剣フィデスを復活させ、アーシャカオスブレイカーのクローンの攻撃で重傷負いながらもアンテロの魂により命を取り留める。

 その間に使徒たちは地球に封じられていたゼロスドラゴンを解放したが、地球のファイター達に敗北して全員クレイへ帰還。しかし、「第二次弐神戦争」と呼ばれるこの戦いは戦場を地球/惑星Eにも広げ、更にゼロスドラゴンの解放によって双方に甚大なる破壊が齎される結果となった。
 その頃、遅れてクレイに帰還した《炎熱猟兵 ダムジッド》は、シラヌイの説得と自らの先導者の意志を受けてギーゼの使徒に反旗を翻し、メサイア側の陣営に加わった。

 自ら犠牲となったカオスブレイカーの手で完全な復活を遂げたギーゼは、地球/惑星Eに「虚無の雨」と呼ばれる疑似ファイターをレリクスから降り注がせるのと同時に自らクレイに侵攻し、滅亡の野望に再び乗り出す。地球/惑星Eから帰還直後に負傷したガスティールヴァレオスはギーゼの手により復活し、レリクスへ駆けつけたシラヌイアルトマイル達との交戦を繰り広げたが、彼らの猛攻で2人共に葬られ、グレドーラ率いるメガコロニーもギーゼ側の勢力から脱退したため結果的に使徒は全滅。未知の邪眼を解放し、ガスティールを討ち倒したシラヌイはルアードの解放を目指すが、ギーゼに反撃され負傷、撤退を余儀なくされる。
 しかし、皮肉にもメサイアから残りの力を受け継いだクロノジェットクロノ・ドラン《クロノバイザー・ヘリテージ》に変身すると同時に互いの「Z器官」を共鳴。ギーゼを追い詰めた末にクロノジェットはクロノ・ドランら若き戦士を守るため、クロノバイザーの体を使い突貫。これに対してギーゼは自爆を試みるも時に既に遅く、最後は相打ちという形で共に滅び去っていった。

 ギーゼが滅亡したことでレリクスは完全に崩壊し、ゼロスドラゴンも弱体化して精霊に戻り消滅。器にされていたルアードも支配から解放され正気を取り戻した。力を使い果たして対存在を失ったメサイアはクレイズイデアに還元され神格としての役目を終える。そして、二つの異なる世界を巻き込んでしまった一大事件を重く見たクロノ・ドランは、同様の事態を再び齎さないために運命力の繋がりを閉ざすことにした。これによって長きに亘る弐神の争いに一応の終止符が討たれることになるが…。

無神紀 [編集]

 その代償として、神格の源「クレイズイデア」は気配が消え、全ての活動を停止。メサイアによる調和によってもたらされてきた法則も消失し、運命力の繋がりが断絶されたことで、神の加護と「先導者」の導きを失った惑星クレイは大きく衰退することになってしまう。

 祈りなき暗黒時代「無神紀」は、世界各地に不安と混乱をもたらし、最終的にユナイテッドサンクチュアリの衰退が表面化したことでクレイ全体の混乱が加速。各国家、各クランは旧来の体制から変革を強いられた。
 これに付随して、クレイ自体がいかなる記録にも残らず、いかなる世界からも観測できない「時空の断絶」を引き起こし、あらゆる記録が失われる事態が発生している。この影響を特に強く受けたのがギアクロニクルであり、超越を含む時空を超える能力が使用不能となった結果、十二支刻獣の力を受け継いだ一人の英雄が現れるまでの間、クラン自体が機能を停止していた(この「一人の英雄」の正体が誰なのかは、その後のストーリーでも一切言及されていない)。

天輪聖紀(世界の選択から龍樹浸食まで) [編集]

 「無神紀」時代の混乱は(クレイの現地時間で)3000年も続いたが、古き国家ドラゴンエンパイア内で希望の代行者「焔の巫女」と絶望の代行者《封焔の巫女 バヴサーガラ》率いる「封焔」の対立の末、クレイから地球への祈りが再び届き、孵化した天輪聖竜の卵から新たな神として《天輪聖竜 ニルヴァーナ》が覚醒する。長く続いた「無神紀」は終わりを告げ、「天輪聖紀」の始まりを迎えた。

 「無神紀」で一時消失していた魔法が復活し、クレイ全体の混乱も一先ず治まったように見えたが先導者の導きを失ったことによる弊害は今だに残り、早くも「煌結晶(ファイア・レガリス)」の争奪、ユースベルクによる叛乱など、新たな騒動が勃発してしまう。

 ユースベルクの叛乱は、最終的にストイケイアダークステイツドラゴンエンパイアの重要人物が干渉したことで4つの国家が関わる大事件となったが、結果的にケテルサンクチュアリ内部の体制見直しと世界樹の解放という結果で収束するも、今度は、外星から落ちた謎の物体《グリフォシィド》の侵食が始まり、《満開の大行進 リアノーン》《柩機の神 オルフィスト》など各国家における重要人物の失踪とマスクス化、龍樹に関わる星刻姫一派の暗躍により、クレイ全体に再び暗雲が立ち込めつつあった。
 またこの時、ブラントゲートの月にあるメサイアの碑文には龍樹に関する警告の他、新聖紀における《ネオンメサイア》覚醒のための預言が含まれており、ユースベルクの叛乱未遂の直後に新たな危機を察知した《魔宝竜 ドラジュエルド》と、預言を受けた各国家の重要人物たちが共同で「運命力の魔石」を過去のメサイアに届けるため行動を起こしている。
 龍樹は次第に勢力を拡大し続け、《滅尽の覇龍樹 グリフォギィラ・ヴァルテクス》‎として完全成長を遂げたグリフォギィラは最終的にクレイ全体を食い尽くそうとする。が、生と死の狭間から語り掛ける《魔宝真竜 ドラジュエルド・イグニス》‎の介入と天輪の一派が切り札に選んだ《武装焔聖剣 ストラヴェルリーナ》‎の活躍によってグリフォギィラは倒され、龍樹の侵攻は収束した。

 龍樹浸食の一件から程なく、飛び散った運命力の塊を受け取った「運命者」と呼ばれる6人のユニット達による運命力の奪い合いが始まっている。

天輪聖紀(運命大戦以降) [編集]

 運命力をその身に宿し参加した「運命者」は五名。

・かつてのエンジェルフェザーに属し、無神紀にて活躍した「救世の使い」こと、「奇跡の運命者 レザエル」
・ドラゴンエンパイアにおいて「天下無双」を号するウインドドラゴンの武芸者「無双の運命者 ヴァルガ・ドラグレス」
・リリカルモナステリオの創設者にして伝説のアイドルたるマーメイド「万化の運命者 クリスレイン」
・「七海覇王ナイトミスト」の復活を目指すゴースト「禁忌の運命者 ゾルガ・ネイダール」
・ダークステイツのどこかにある運命力のブラックホール「零の虚」の中心で無秩序な力をふるうデーモン「零の運命者 ブラグドマイヤー」

 運命者と運命者が戦い、どんな形であれ勝利した方に運命力が流れ、最終的には全ての運命力を手にした者が「在るべき未来」を実現できる。
 レザエルはヴァルガ、クリスレイン、ゾルガの運命力を手に、ブラグドマイヤーとの決戦に臨む。
 結果は、ブラグドマイヤーがレザエルに勝利。全ての運命力もろとも惑星クレイは飲み込まれ消滅する……はずだった。

 レザエルの恋人だったリィエルの遺体に、別の世界で死亡したレザエルの記憶/運命力が注がれ、ギアクロニクルの遺跡によって生み出された複製体
「時の運命者 リィエル=アモルタ」が七人目の運命者として現在の世界に現れ、この世界では、彼女の導きで運命者となった「標の運命者 ヴェルストラ“ブリッツ・アームズ”」の協力の元、この後の戦いから身を引かねばレザエルは死に、クレイは滅亡すると警告。
 レザエルはこれを拒絶し、自らの手で決着をつけるべきリィエルと激突。奇跡と時の運命者の決着はレザエルが勝利し、「零の虚」に居るブラグドマイヤーとの決戦に臨む。

 ブラグドマイヤーの正体は、リィエルを喪ったレザエルの悲しみを取り込んだ無のデーモン、すなわちレザエルの半身と呼ぶべき存在であり、それゆえにレザエル自身を飲み込み同化することを欲していた。だが実際にそれが行われた場合、運命力の均衡はブラグドマイヤーに傾き、彼の性質である「虚無」に引きずられる形でクレイそのものが終焉を迎えることになる。

 これを防ぐためレザエルはブラグドマイヤーと交戦するも、リィエルのかつての言葉を思い返したことで運命力の流れをリィエルに傾けることに成功。これに伴いブラグドマイヤーの中に感情が芽生え、レザエルに連れ出される形で惑星クレイに再誕。レザエルのもとで世界にあるための知識を学ぶことになったが、その矢先にワイズキューブが「宿命者」たちの存在と、新たな戦いへの警告を齎した。

 宿命者とは、かつての「世界の選択」に敗れた絶望の運命力を与えられたユニット達であり(絶望の巫女であるバヴサーガラと精霊であるトリクムーンは関与していない)、運命大戦によって生じた運命力の偏りに対する「揺り戻し」のような存在だと見られていた。
 この中には先の戦いで存在の根源である未来を失い消滅したはずのリィエルが含まれていたが、その正体は絶望の運命力によるリィエルのさらなる複製、リィエル=オディウムである。
 運命の分岐点と化したレザエルを抹殺し、そこを起点に過去に跳躍、本物のリィエルの死を回避することで一連の悲劇を否定することを目的としていたが、「零の虚」に潜んでいたリィエル=アモルタの介入、そして対話により一定の合意を見た両者はアモルタの勝利と言う形で矛を収める。

 この直後に起きたヴァルガ=ドラグレスの襲撃というアクシデントはあったものの、レザエルは二人のリィエルから齎された情報により、運命大戦から続く騒動の真相に行き着いた。
 全ての始まりは新聖紀のドラゴンエンパイア北部で起きた大量虐殺事件「ツバレンの悪夢」を引き起こした共心竜・シヴィルトが惑星「E」に逃亡したことであり、レザエルのかつての師である守護竜ガヴエリウスが精神体となってこれを追撃。

 かつてのディフライダーに近い形で異なる星に降り立ったガブエリウスは、ファイター達を導き運命大戦を開戦、これを利用して潜伏するシヴィルトを捜索していたが、これに対してシヴィルトは絶望の運命力と運命大戦のシステムを利用し、ガブエリウスへの「打ち返し」として宿命決戦を引き起こす。
 
 ヴァルガ=ドラグレスもまたシヴィルトの精神汚染を受けて暴走していたのだが、ここでシヴィルトが運命の修正力を利用し、地球のファイターによるヴァンガードファイトを利用する形でクレイ側の動向に干渉していることが発覚。
 既にクレイの運命力はシヴィルトに掌握されてしまっていたが、レザエルはこれに対抗するため、運命大戦において邂逅した惑星「E」における自身の先導者の力を借りることを選択。
 「奇跡の運命王 レザエル・ヴィータ」として再臨を果たし、同時期にストイケイアのズー領に潜んでいた「無限の宿命者 レヴィドラス」も同様に自身の先導者とコンタクト、「無限の宿命王 レヴィドラス・エンピレオ」として復活。

 対抗戦力の出現を感知したシヴィルトはヴァルガの肉体を完全に乗っ取り掌握、自身はそのまま惑星「E」におけるヴァンガードファイトに臨む。
 レザエルもこれに乗る形でヴァルガと交戦、苦戦を強いられるも最後の最後で先導者から届いた「祈り」により窮地を逃れ、ガブエリウスの肉体を利用したリィエル=アモルタの救援もあってヴァルガの肉体から追い出されたシヴィルトは地球でのファイトに敗れたことも重なり消滅。
 使命を果たしたガブエリウスの魂も現地の女性と融合する形で消え去り、宿命決戦は新聖紀からの当事者両名の消滅という形で幕を下ろすことになった。

 なお、リィエル=アモルタは時翔の濫用をギアクロニクルに咎められ、クレイの時間の外へ連行されたが、この事象はクレイ側に伝わっておらず、行方不明者として捜索活動が始まっている。
 

関連リンク [編集]


[1] 背景設定上における「星輝大戦」に相当。
[2] Gシリーズの回想シーンと2018年版の「新右衛門編」後半以降に該当。
[3] 背景ストーリーでは、この事件がアニメ「カードファイト!! ヴァンガードG」のものとは明言されていない。