惑星クレイ [編集]
地球と似た形の惑星。神や悪魔、ドラゴンや妖精の存在が忘れ去られず、魔法と科学が共に研究され、技術として確立された世界である。
独自の文明を発達させた国家が、各大陸を支配している。
概要 [編集]
このゲームに登場するユニットが住まう惑星であり、ユニット設定で語られる背景ストーリー、小説「惑星クレイ物語」や短編小説「ユニットストーリー」、そして長編小説『クレイ群雄譚』の舞台でもある。このゲームにおけるイメージの中の世界観でもあり、ほぼ全てのユニットのキャラクター設定の舞台になっている概念である。
惑星クレイとは何か [編集]
実態としては地球とは別の宇宙に浮かぶ惑星であり、いわゆるファンタジー世界。「地球によく似た惑星」上に様々な国家が存在し、それに応じて多様な技術が発達している。
その中にはサイボーグなどの科学技術も含まれるため地球に似ているかというと疑問も浮かぶところだが、「似た形の惑星」という表現もされているので地球と同じ環境を持った惑星という意味合いだろう(少なくとも地球人が降り立っても問題なく活動可能)。
ただ、《オラクルガーディアン アポロン》のユニット設定に「ギリシャ彫刻」の表記が見られることから、惑星クレイにとっても別惑星としての「地球」という概念は知られているようである。
上空から地表を見ると各国家が支配する大陸はいかにも地球の大陸と酷似していることが分かるが、ギーゼと〈ゼロスドラゴン〉による大規模な破壊活動(弐神戦争)や「無神紀」時代における各国家の混乱などで、時代ごとに地形や境界線が大きく変化している。
基本的にゲームそのものと無関係な背景設定だけに、公式サイトにも深い説明はないが故に、惑星クレイの設定に関しては不明瞭な部分も決して少なくはない。実情はフレーバーテキストや「今日のカード」、そして「公式読み物サイト」における数多の文章から、断片的に窺える程度ではあるが、これらに目を向けたり、イメージしてみるのもこのゲームの1つの楽しみ方といえよう。
惑星クレイ以外の天体 [編集]
衛星として「星輝大戦」末期に最接近した「遊星ブラント」という星が存在している。この星は元々根絶者の拠点地であったが、大戦終結直後に神格メサイアの「調和と再生」の意志によって、新たなクレイの衛星として受け入れられ、今に至っている。
その他、月がいくつか存在していたり、《星葬のゼロスドラゴン スターク》のユニット設定には「弐神戦争」でスタークの砲撃で破壊された「一つの衛星(名称不詳)」という存在が言及されていたりするが、特に背景ストーリーで触れられる傾向は少ない。
また、背景設定上では特に触れられていないが、漫画「みにヴぁんハイ‼︎(みにヴぁんら~じ)」においては、クレイよりも強く直接的にイメージが反映できる「アニヴェルサーリオ」という星が登場する。
地球との関係 [編集]
言うまでもなく我々にとっては架空の世界だが、漫画やアニメの世界では、共通して一般的には『カードゲーム「ヴァンガード」』の中の架空の世界とされつつも劇中で実在が明言されている。
原作の背景設定上における惑星クレイでは一貫通して物語が繋がっているが、基本的にカードゲームバトルを題材にしている漫画やアニメでは、各作品毎に独立した世界観を築いている為、それぞれの舞台や世界は繋がっていない。
しかし、クレイの背景設定上に漫画やアニメのストーリー要素が取り入れられることは度々あり(世界観を完全に共有しているわけではないが)、小説「惑星クレイ物語」及び短編小説「ユニットストーリー」とテレビアニメで語られる惑星クレイに纏わる事柄には、それぞれの繋がりを意識した描写も見られる。ただし、作品によっては必ずしもそうという訳にはいかない傾向も見られる(クランの初出等)。
- 綺場家の宝刀「フィデス」…アニメ「ギアースクライシス編」においては、クレイ上における《光輝の剣 フィデス》と全く同じデザインの剣が綺場家の家宝として登場しており、綺場シオンが地球と惑星クレイの繋がりについて考えている言及がある。
- ゼロスドラゴン…「G Z」にてその剣の元々の持ち主が大災厄(背景ストーリーにおける弐神戦争)の終戦後に地球に渡り、ゼロスドラゴンを各地に封印したことについての言及がある(ただし、カード化した経緯については語られていない)。
- 「レギオンメイト編」における《大いなる銀狼 ガルモール》…クレイ側の設定上では「解放戦争」時に創設されたとされるゴールドパラディンのカードが回想シーンで幼少時のガイヤールが同じ孤児院にいた少年から譲り受けたカードとして登場している。
- 2018年版におけるジェネシス…初出自体は2011年版「リンクジョーカー編」[1]からだが、「新右衛門編」では、無印シリーズの前の出来事(正確には2018年版の前日譚)にもかかわらず、新田新右衛門の高校生時代から既に存在している(ジェネシスに限らず、本来その時代に存在するはずが無いクランも複数存在する)。
背景ストーリーでの地球に関しては、世界観の共有や混乱を避ける為か、それに纏わる事柄は全て伏せられている。
惑星クレイ側から見る限りでは、地球は「別の宇宙に実在する異世界」という扱いのようである。小説「惑星クレイ物語」などの一部の媒体では、「惑星E」と呼称されている。
地球との運命力の繋がり [編集]
クレイの住民だけでは判断ができない事態が発生した場合、「祈り聞く者」と呼ばれる、地球にいる「先導者」の判断を仰いでいる。
漫画やアニメにおける、「PSYクオリア」はこの「判断」のため、「先導者」の候補となるファイターとクレイをリンクするために発現されるものであり、地球とクレイを繋ぐ「運命力」を五感で読み取るための能力。ユニットの声を聴く、最適なプレイングがイメージとして浮かぶなどの能力はあくまでその副産物である(2018年版の櫂など、イメージ力の上昇により自力で覚醒するファイターもいる)。
明言はされていないが、運命力の繋がりが発生したのは、アニメ版の過去に当たる時期[2]で新導クロノがクレイへの道を偶発的に開いたことが原因であることが示唆されている(この関係からか、クロノは《クロノ・ドラン》をはじめとするギアクロニクルの先導者として位置付けられている)。
乱暴に言えば、「ファイターがユニットにライドしてクレイで戦う」というイメージ上の出来事が、そのままクレイでも同じように繰り広げられるという形で反映される。一例として2011年版における全ての事件は、クレイにおいてもキーパーソンとなった「祈り聞く者」の分身となるユニットとそのクランが同様の顛末を辿る形で引き起こされている。
この現象は「運命の修正力」という名称があり、クレイにおいて発生した事象と整合性を取るために地球のファイターたちにも「先導者」を通じて同様の状況をもたらす形で作用する。
2011年版を例にとると、アジアサーキット編における三クランの消滅、レギオンメイト編におけるアイチに関する記憶の抹消も、それぞれクレイにおける三英雄の封印(=「先導者」との関係の断絶、クランの無力化)と、ブラスター・ブレードのЯ化による存在の変化が反映されたものである。
「無神紀」の時代で地球との運命力の繋がりは一時的に絶たれたが、その後の「天輪聖紀」時代では、天輪聖竜の覚醒からしばらくして運命の修正力がもたらす現象が復活し、再び「クレイ側の動向がファイターに連動する」兆候が垣間見られるようになっている。
Dシリーズのアニメにおいては、「overDress」の時点では特に触れられていなかったが、「Divinez」ではこの現象がGシリーズと同等まで回復。この原理を地球側から能動的に利用して暗躍するユニットの存在が判明しており、同時にこれは宿命決戦を収束させるための決め手としても機能している。
惑星クレイの歴史とその変遷 [編集]
クレイの歴史についてはカードのフレーバーテキストやユニット設定などでいくつか語られる程度に留まっていたが、「世界観コラム ─ 解説!惑星クレイ史」で諸設定が若干程度に追加、補元されるようになった。
また、時代区分については、新シリーズ以前の背景設定上では明確に言及されていなかったが、「overDress」シリーズへの移行直後に「天輪聖紀」の時代区分が設定されてから、それ以前の時代区分が正式に明かされている。
弐神紀以前 [編集]
約160億年前、全ての可能性を内包した虚無の世界に、「土」という名の惑星の誕生から始まる(第2章)。
やがて、ひとつの指向性を帯び「クレイズイデア」と呼ばれる存在が生み出され、最初期の種族「エレメンタル」から様々な生命が進化する(第3章)。
「創世竜紀」時代では、100億年前の惑星クレイに大きな変化が現れ、神格の源「クレイズイデア」から、最初の神格「始祖創世竜」とその眷属「原初竜」の出現と共に「ドラゴン」を始めとする様々な種族が生まれ、やがてそれぞれが独自の進化を重ねてき、異星生命体と思われる存在との交流などで文明が急速に発展した。しかし「始祖創世竜」の消失と資源の枯渇により、科学文明は衰退を強いられることになる(第4章)。
別の異星文明側からの継続的な交流が開始されるにつれて、その求めに応じる形で星間犯罪防止に協力する条約が締結され、この条約に基づく相互協力組織(ディメンジョンポリスの前身)が、惑星クレイのクラン誕生のきっかけとなる。古き大国「ズー」のメガコロニーが結成されたのもこの時代とされている。
70億年前に始まった「弐神紀」時代では、新たなる創世の神《ハーモニクス・メサイア》による調和で、クレイには新たに魔法科学文明が発展を遂げる。だが、法則改変によって生じた「歪み」は肥大化の末、世界全てを滅却しようとする「かつてないほど巨大な虚無」へと回帰。これを《邪神司教 ガスティール》がユニットとして召喚した結果、惑星クレイ史上最大の災厄である虚無の化身・《破壊の竜神 ギーゼ》が降臨したことで、2つの神格を巡る争いが勃発。クレイ全体が火の海と化し、惑星そのものが滅亡寸前にまで追い込まれるほどの大戦争となった。
結果としてメサイア側が勝利し、敗れたギーゼは、メサイアの手によってどことも知れぬ場所へ封印、表舞台から追放された。この2つの神格による全面戦争は後に「弐神戦争」と呼ばれることになる(第5章・第6章)。
この際、ギーゼの化身・ゼロスドラゴンとその戦災から救った初代「剣聖 フィデス」は、弐神戦争終結後、共に生命力に満ち溢れていた「重なり合う世界」(惑星E)へと転移して封じられた。
聖竜紀から新聖紀まで [編集]
聖竜紀から新聖紀にかけては、集束点のギーゼを失ったことで拡散した「歪み」による次元魔獣の発生や、それへの対処を巡る光と闇の対立、解放戦争、虚無の軍勢の襲来(星輝大戦)や時空混戦等といった大きな事件に見舞われながらも、新たなる姿となった創世神の加護のもとで、多くの国家やクランが繁栄していた(第7章〜第13章)。
なお聖竜紀には《ハーモニクス・メサイア》は根絶者を撃退した後に力を失い眠りについていたが、末期に入ってこれを消し去ろうとする根絶者の残党に襲撃される事件が発生している。《クロノジェット・ドラゴン》ら十二支刻獣に守られ、過去と未来を駆け巡る形で逃走を強いられたが、最終的にはいずこかから降り注いだ運命力の塊を受け取ったことで《ネオンメサイア》として覚醒、この時より新聖紀が始まっている。
ストライドゲート事変終結後に、密かに地球へ降り立った使徒たちがゼロスドラゴンを解放。二つの世界のはざまたる虚無の要塞「ヴォイド・レリクス」の建造と使徒が連れ去った竜刻魔道士を器にして《破壊の竜神 ギーゼ》が復活を遂げたことで、2つの神格による戦いが再発してしまう。この戦いは戦場を地球にも広げ、更にゼロスドラゴンの解放によって双方に甚大なる破壊をもたらした。
「第二次弐神戦争」と呼ばれるこの戦いは、メサイアの力を受け継いだ時空竜の特攻によりギーゼが滅亡し、力を使い果たし対存在を失ったメサイアもクレイズイデアに還元されたことで、一応の終止符が討たれることになる(第14章)。
が、メサイア・ギーゼ両神格の消滅の結果、神格の源「クレイズイデア」は気配が消え、全ての活動を停止。さらにその代償として、メサイアによる調和によってもたらされてきた法則が消失し、ストライドゲートと共に運命力の繋がりが断絶されたことで、神の加護と「先導者」の導きを失った惑星クレイは大きく衰退する。
無神紀 [編集]
祈りなき暗黒時代「無神紀」は、世界各地に不安と混乱をもたらし、最終的にユナイテッドサンクチュアリの衰退が表面化したことでクレイ全体の混乱が加速。各国家、各クランは旧来の体制から変革を強いられた。
これに付随して、クレイ自体がいかなる記録にも残らず、いかなる世界からも観測できない「時空の断絶」を引き起こし、あらゆる記録が失われる事態が発生している。この影響を特に強く受けたのがギアクロニクルであり、超越を含む時空を超える能力が使用不能となった結果、十二支刻獣の力を受け継いだ一人の英雄が現れるまでの間、クラン自体が機能を停止していた(この「一人の英雄」の正体が誰なのかは、その後のストーリーでも一切言及されていない)。
天輪聖紀以降 [編集]
「無神紀」時代の混乱は(クレイの現地時間で)3000年も続いたが、古き国家ドラゴンエンパイア内で希望の代行者「焔の巫女」と絶望の代行者「封焔の巫女」の対立の末、クレイから地球への祈りが再び届き、孵化した天輪聖竜の卵から新たな神として《天輪聖竜 ニルヴァーナ》が覚醒する。長く続いた「無神紀」は終わりを告げ、「天輪聖紀」の始まりを迎えた。
「無神紀」で一時消失していた魔法が復活し、クレイ全体の混乱も一先ず治まったように見えたが先導者の導きを失ったことによる弊害は今だに残り、早くも「煌結晶(ファイア・レガリス)」の争奪、ユースベルクによる叛乱など、新たな騒動が勃発してしまう。
ユースベルクの叛乱は、最終的にストイケイア、ダークステイツ、ドラゴンエンパイアの重要人物が干渉したことで4つの国家が関わる大事件となったが、結果的にケテルサンクチュアリ内部の体制見直しと世界樹の解放という結果で収束するも、今度は、外星から落ちた謎の物体《グリフォシィド》の侵食が始まり、《満開の大行進 リアノーン》や《柩機の神 オルフィスト》など各国家における重要人物の失踪とマスクス化、龍樹に関わる星刻姫一派の暗躍により、クレイ全体に再び暗雲が立ち込めつつあった。
またこの時、ブラントゲートの月にあるメサイアの碑文には龍樹に関する警告の他、新聖紀における《ネオンメサイア》覚醒のための預言が含まれており、ユースベルクの叛乱未遂の直後に新たな危機を察知した《魔宝竜 ドラジュエルド》と、預言を受けた各国家の重要人物たちが共同で「運命力の魔石」を過去のメサイアに届けるため行動を起こしている。
龍樹は次第に勢力を拡大し続け、《滅尽の覇龍樹 グリフォギィラ・ヴァルテクス》として完全成長を遂げたグリフォギィラは最終的にクレイ全体を食い尽くそうとする。が、生と死の狭間から語り掛ける《魔宝真竜 ドラジュエルド・イグニス》の介入と天輪の一派が切り札に選んだ《武装焔聖剣 ストラヴェルリーナ》の活躍によってグリフォギィラは倒され、龍樹の侵攻は収束した。
関連リンク [編集]
背景設定上における「星輝大戦」に相当。
Gシリーズの回想シーンと2018年版の「新右衛門編」後半以降に該当。