カードファイト!! ヴァンガード overDress [編集]
BEFORE:カードファイト!! ヴァンガード(2018年版)
『カードファイト!! ヴァンガード』2021年度以降の商品名(2021年度のみ)並びにアニメシリーズのタイトル。
- ロゴのデザインは、Gシリーズ以前のロゴデザインをベースに下部には「overDress」の文字が新たに表示されている。
- なお、テレビアニメ版のタイトルは「Vanguard」の黒文字ロゴで表示された、独自のものが使われていたが、「will+Dress」以降はTCG版と同じものを流用している。
- 2022年度以降のTCG関連商品には、「overDress」の文字が無くなり、初代商品名である『カードファイト!! ヴァンガード』に戻っている。おそらくは下記の通り、アニメの新シリーズの放送に合わせてタイトルを変え続けるとややこしくなるためだろう。
- カード表面の体裁は、デザインのみならず、カードの属性をこれまでの24クラン体制から6国家体制になるなど、大幅なリニューアルが施された。シリーズ誕生から10年にわたって続いたクラン体制はこれに伴い終止符を討った(ただしタイトルの新規追加は継続)。カードの左下にある特定のレギュレーションで使用可能を示すアイコンは「V」から「D」に変わっている。
- アニメ
『カードファイト!!ヴァンガード overDress』とは、2021年4月3日からスタートした、テレビアニメシリーズ第14期。ヴァンガード10周年記念作品でもある。通称「Dシリーズ」。
2022年7月から2023年10月にかけては『カードファイト!! ヴァンガード will+Dress』(通算:第15期)が放送された。
2024年1月からは『カードファイト!! ヴァンガード Divinez』(通算:第16期)が放送されている。
作品としてのクオリティを重視してか、前作「イフ-if-」から放送形態が大幅に変更されており、これまでの通年放送形式でなく、放送休止期間を挟みつつ1クールずつ放送する、いわゆる分割クール制が採られている。
- 本作品では、これまでの過去作とは一切物語が繋がっておらず、現実のカードゲームでは必須とされるカードスリーブの使用、過去作において特定の人物にのみ所持が限られていた属性(国家・クラン)のカードが最初から一般的に普及している等、ある程度現実に近い世界観となっている。
- 「overDress」(シーズン1のみ)「will+Dress」では各シーズン終了毎に再放送(リピート)する形をとっていたが、「Divinez」では1月・7月期の1クール放送と4月・10月期のバラエティ番組『ENJOY!ヴァンガろうTV(ジョイヴァン)』というローテーションで放送されている。
- これはある意味でも『BanG Dream!』とは逆路線であり、ヴァンガードと同じ系列で放送されている『ウルトラシリーズ』(ウルトラマンオーブ以降)と似たような形態を持つ(ただし近年のウルトラは基本2クール完結なので、分割放送を取るようなことは一切していない)。
背景ストーリー(天輪聖紀) [編集]
概要 [編集]
Gシリーズから世界観を一新。
ギーゼ消滅から3000年以上経過した世界線に物語が展開されて行く。
前シリーズ(Vシリーズ)では背景ストーリーが廃止となっていたが、このシリーズより本格的に再開され、同時期に開設された「公式読み物サイト」において長編小説『クレイ群雄譚』や短編小説『ユニットストーリー』で示されるようになった。
なおこのシリーズ以降、現在に至るまでこの世界線での出来事が描写され続けて行く。
世界観の概要 [編集]
「新聖紀」時代以前からほとんどの国家が刷新され、それまでの各大陸を支配していた6つの国家から5大国家と1つの移動都市国家が支配する世界へと変わり果てた。これが現在におけるクレイの世界である。
なおこの時代以降、これまで活躍したユニットは殆ど登場せず、《天輪聖竜 ニルヴァーナ》をはじめとした次世代のユニット達が何を感じとり、どう生きていくのか、ここから物語は進行する。
ただし、旧時代のユニットが完全にいなくなったという訳ではなく、『The Elderly ~伝説との邂逅~』では(殆どの力を失っている)《ドラゴニック・オーバーロード》の生存が判明しており、直接な登場がなくとも、ユニットストーリーにおける《七海覇王 ナイトミスト》[1]や、クレイ群雄譚における《百害女王 ダークフェイス・グレドーラ》[2]などのように名前のみで明言されているケースもある。
前日譚(無神紀) [編集]
メサイアとギーゼの消失によって弐神戦争は終結した。しかし、この過程で極限まで高まったクレイの運命力は、同時にそれを否定する力である「かつてないほど巨大な虚無」を再び引き寄せてしまっていた。
これを逃れるため、神格の源「クレイズイデア」は気配を消し、全ての活動を停止。メサイアの調和によってもたらされてきた法則も消失し、運命力の繋がりが断絶されたことで、神の加護と「先導者」の導きを失った惑星クレイは大きく衰退することになってしまう。
祈りなき暗黒時代「無神紀」は、世界各地に不安と混乱をもたらし、最終的にユナイテッドサンクチュアリの衰退が表面化したことでクレイ全体の混乱が加速。各国家、各クランは旧来の体制から変革を強いられた。
これに付随して、クレイ自体がいかなる記録にも残らず、いかなる世界からも観測できない「時空の断絶」を引き起こし、あらゆる記録が失われる事態が発生している。この影響を特に強く受けたのがギアクロニクルであり、超越を含む時空を超える能力が使用不能となった結果、十二支刻獣の力を受け継いだ一人の英雄が現れるまでの間、クラン自体が機能を停止していた(この「一人の英雄」の正体が誰なのかは、その後のストーリーでも一切言及されていない)。
この時代は、(上記の「時空の断絶」によって記録が残っていない故か)クレイ上における世界情勢の悪化や国家の変革といった簡易的な流れしか解説されていない。また明確な状況も一切描かれていないため、公式やファンの想像に委ねる程度に留まっている。
- 魔法力の枯渇によりクランとしての機能が低下したダークゾーンは、小国家群に分裂し内部抗争が続いていたが、十二支刻獣の力を託された「一人の英雄」とギアクロニクルの手により「ダークステイツ」として再び統一を成し遂げた。
- スターゲートでは事態を打開すべく国内のクラン達が行動を続けていたが、遊星ブラントに残されていた「メサイアの碑文」を発見、その碑文に記された内容を受けて合力することを決定し、「ブラントゲート」として再編した。
- 王都「セイクリッド・アルビオン」を放棄せねばならなくなったユナイテッドサンクチュアリ改め「ケテルサンクチュアリ」は、支配者層が住む浮遊島群「ケテルギア」と荒廃した地上に分かれて存続し、閉鎖主義へと転換。
- 賢者「ストイケイア」は運命力に依存しない未来予測機関「ワイズキューブ」を完成させ、この思想に賛同した者たちによって二つの国(メガラニカ・ズー)が合併した「ストイケイア」が建国。
その一方で、旧メガラニカのバミューダ△は「融和と学習によって未来が開かれる」と説いた賢者の思想に従い「リリカルモナステリオ」を建国している。
一方、ドラゴンエンパイアだけは何年に渡り国名も体制も変化しなかった。帝国内の中央の霊峰に聳え立つ暁紅院では、古代から守り続けられている伝説の竜の卵があり…。
天輪聖紀の幕開け〜龍樹浸食 [編集]
「無神紀」時代の混乱は(クレイの現地時間で)3000年も続いたが、古き国家ドラゴンエンパイア内で希望の代行者「焔の巫女」と絶望の代行者《封焔の巫女 バヴサーガラ》率いる「封焔」の対立の末、クレイから地球への祈りが再び届き、孵化した天輪聖竜の卵から新たな神として《天輪聖竜 ニルヴァーナ》が覚醒する。長く続いた「無神紀」は終わりを告げ、「天輪聖紀」の始まりを迎えた。
「無神紀」で一時消失していた魔法が復活し、クレイ全体の混乱も一先ず治まったように見えたが先導者の導きを失ったことによる弊害は今だに残り、黎明期には「煌結晶(ファイア・レガリス)」の争奪と、その裏で進んでいた《顕現せし大天涯 グランドグマ》復活を狙うケイオスの暗躍による「巨躯事件」とその後遺症と言うべき「巨躯の種子事件」が発生している(この過程で《時空竜 クロノスコマンド・ドラゴン》の所在が判明し、事件の中で覚醒を見ている)。
浮遊島群「ケテルギア」と荒廃した地上の対立が続くケテルサンクチュアリにおいては、格差と差別に耐えかねた地上でレジスタンスの活動が活発化していた。その中で、貧困からの解放を目指す青年「ユース」こと《ユースベルク“破天黎騎”》率いる「破天騎士団」がついに上層部への反乱を引き起こしたが、事態が本格化する直前にダークステイツの《魔宝竜 ドラジュエルド》が何者かに魔石が盗まれたことに怒り狂って、ケテルサンクチュアリへ乱入するアクシデントが発生。この騒ぎにこの地を訪れていたストイケイアの《満開の大行進 リアノーン》率いる音楽隊も巻き込まれる形となり、ユースベルクはやむを得ず《頂の天帝 バスティオン》との共闘により対処。
バヴサーガラとニルヴァーナの仲裁によって、ドラジュエルドは正気に戻り状況は沈静化。バスティオンはこの事態を受け、ケテルサンクチュアリ内部の体制見直しを決定(ユースベルクはゴールドパラディンの地上部隊として配属)、音楽隊による世界樹の解放も行われひとまずこの時は無事に収まった。
しかしその直後、外星から落ちた謎の物体《グリフォシィド》の浸食が始まり、《満開の大行進 リアノーン》や《柩機の神 オルフィスト》など各国家における重要人物の失踪とマスクス化、龍樹に関わる星刻姫一派の暗躍により、クレイ全体に再び暗雲が立ち込めつつあった。
またこの時、ブラントゲートの月にあるメサイアの碑文には龍樹に関する警告の他、新聖紀における《ネオンメサイア》覚醒のための預言が含まれており、ユースベルクの叛乱未遂の直後に新たな危機を察知した《魔宝竜 ドラジュエルド》と、預言を受けた各国家の重要人物たちが共同で「運命力の魔石」を過去のメサイアに届けるため行動を起こしている。
事態を打開すべく行動を開始した《ディアブロス ”爆轟”ブルース》達はマスクスを次々と排除(ドラジュエルドはこの過程でブルースとの戦いで死亡する)。
だが、龍樹の本質は底なしの欲求に突き動かされ、それを満たすことしか知らない生命体。やがて《滅尽の覇龍樹 グリフォギィラ・ヴァルテクス》として完全成長を遂げたグリフォギィラが最終的に狙っていたのは、神格であるニルヴァーナの完全覚醒を誘発し、最後の御馳走としてそれを喰らうことであった。故に運命力を吸い上げ力とする龍樹を相手に、運命力でぶつかっても勝ち目はないのだ。
一方、焔の巫女の一行は龍樹を倒すのではなく、別の道を選んでいた。かつて惑星クレイは、侵略者であるリンクジョーカーを新たなクランとして受け入れ、彼らはクレイに根付きその一部となった。ならば龍樹もまた、クレイの新たなユニットとして受け入れることができるに違いない。
生と死の狭間から語り掛ける《魔宝真竜 ドラジュエルド・イグニス》の介入と、天輪の一派が切り札に選んだ《武装焔聖剣 ストラヴェルリーナ》の活躍によってグリフォギィラは倒され、一つだけ残されたグリフォシィドは共存の意志を示しこれを天輪聖竜が受け入れたことで、ドラゴンエンパイア北部の人跡未踏の地に自ら安全地帯を作り出し定植。龍樹の完全浸食は遂に阻止された。
運命大戦~宿命決戦 [編集]
滅亡しかけた世界は復興へ向かって動き出した一方、グリフォギィラの崩壊直後に飛び散った運命力の塊を受け取った6人のユニット達が「運命者」となり、彼らによる運命力の奪い合いが始まろうとしていた。
運命力をその身に宿し参加した「運命者」は、
の5名。それは運命者と運命者が戦い、どんな形であれ勝利した方に運命力が流れ、最終的には全ての運命力を手にした者が「在るべき未来」を実現できる。
レザエルはヴァルガ、クリスレイン、ゾルガの運命力を手に、ブラグドマイヤーとの決戦に臨む。結果は、ブラグドマイヤーがレザエルに勝利。全ての運命力もろとも惑星クレイは飲み込まれ消滅する…はずだったが、レザエルの恋人だったリィエルの遺体に、別の世界で死亡したレザエルの記憶/運命力が注がれ、ギアクロニクルの遺跡によって生み出された複製体《時の運命者 リィエル=アモルタ》が七人目の運命者として現在の世界に現れる。この世界では、彼女の導きで運命者となったヴェルストラの協力の元、この後の戦いから身を引かねばレザエルは死に、やがてクレイは破滅してしまうと警告した。
しかしレザエルはこれを拒絶し、自らの手で決着をつけるべきリィエルと激突。奇跡と時の運命者の決着はレザエルが勝利し、「零の虚」に居るブラグドマイヤーとの決戦に臨む。
ブラグドマイヤーの正体は、リィエルを喪ったレザエルの悲しみを取り込んだ無のデーモン、すなわちレザエルの半身と呼ぶべき存在。それゆえにレザエル自身を飲み込み同化することを欲していた。だが実際にそれが行われた場合、運命力の均衡(バランス)はブラグドマイヤーに傾き、彼の性質である「虚無」に引きずられる形でクレイそのものが終焉を迎えることになってしまう。
これを防ぐためレザエルはブラグドマイヤーと交戦するも、リィエルのかつての言葉を思い返したことで運命力の流れをリィエルに傾けることに成功。これに伴いブラグドマイヤーの中に感情が芽生え、レザエルに連れ出される形で惑星クレイに再誕。レザエルのもとで世界にあるための知識を学ぶことになったが、その矢先にワイズキューブが《無限の宿命者 レヴィドラス》をはじめとした「宿命者」たちの存在と、新たな戦いへの警告を齎した。
宿命者とは、かつての「世界の選択」に敗れた絶望の運命力を与えられたユニット達であり(ただし、バヴサーガラと《トリクムーン》は関与を否定している)、運命大戦によって生じた運命力の偏りに対する「揺り戻し」のような存在だと見られていた。
この中には先の戦いで存在の根源である未来を失い消滅したはずのリィエルが含まれていたが、その正体は絶望の運命力によるリィエルのさらなる複製、《時の宿命者 リィエル=オディウム》である。運命の分岐点と化したレザエルを抹殺し、そこを起点に過去に跳躍、本物のリィエルの死を回避することで一連の悲劇を否定することを目的としていたが、「零の虚」に潜んでいたリィエル=アモルタの介入、そして対話により一定の合意を見た両者はアモルタの勝利と言う形で矛を収める。
この直後に起きたヴァルガ=ドラグレスの襲撃というアクシデントはあったものの、レザエルは二人のリィエルから齎された情報により、運命大戦から続く騒動の真相に行き着いた。
全ての始まりは数千年前、新聖紀のドラゴンエンパイア北部で起きた大量虐殺事件「ツバレンの悪夢」を引き起こした《邪竜 シヴィルト》が地球/惑星Eに逃亡したことであり、レザエルのかつての師である《聖竜 ガブエリウス》が精神体となってこれを追撃。
かつてのディフライダーに近い形で異なる星に降り立ったガブエリウスは、ファイター達を導き運命大戦を開戦、これを利用して潜伏するシヴィルトを捜索していたが、これに対してシヴィルトは絶望の運命力と運命大戦のシステムを利用し、ガブエリウスへの「打ち返し」として宿命決戦を引き起こす。
ヴァルガ=ドラグレスもまたシヴィルトの精神汚染を受けて暴走していたのだが、ここでシヴィルトが運命の修正力を利用し、地球のファイターによるヴァンガードファイトを利用する形でクレイ側の動向に干渉していることが発覚。既にクレイの運命力はシヴィルトに掌握されてしまっていたが、レザエルはこれに対抗するため、運命大戦において邂逅した地球/惑星Eにおける自身の先導者の力を借りることを選択。
《奇跡の運命王 レザエル・ヴィータ》として再臨を果たし、同時期にストイケイアの旧ズー領に潜んでいたレヴィドラスも同様に自身の先導者とコンタクト、《無限の宿命王 レヴィドラス・エンピレオ》として復活。
対抗戦力の出現を感知したシヴィルトはヴァルガの肉体を完全に乗っ取り掌握、自身はそのまま地球/惑星Eにおけるヴァンガードファイトに臨む。
レザエルもこれに乗る形でヴァルガと交戦、苦戦を強いられるも最後の最後で先導者から届いた「祈り」により窮地を逃れ、ガブエリウスの肉体を利用したリィエル=アモルタの救援もあってヴァルガの肉体から追い出されたシヴィルトは地球でのファイトに敗れたことも重なり消滅。
使命を果たしたガブエリウスの魂も現地の女性と融合する形で消え去り、宿命決戦は新聖紀からの当事者両名の消滅という形で幕を下ろすことになった。
なお、リィエル=アモルタは時翔の濫用をギアクロニクルに咎められ、クレイの時間の外へ連行されたが、この事象はクレイ側に伝わっておらず、行方不明者として捜索活動が始まっている。
朔月編~赫月編 [編集]
宿命決戦の後、レザエルは自身に集約された運命力を持って「世界の選択」を下した。だが、彼の願った「あらゆる病も争いもない世界」は実現することはなく、選択の影響は現れなかった。
入れ替わるようにして、第一の月の近くに《月の門》が転移出現。レザエルを訪問したその守護者である《月の門番 ヴェイズルーグ》ら「月の民」は幻真獣との戦いによる「月の試練」を課した。
レザエルはこれに挑んだが《第一の幻真獣 “天戒牙狼” ロズトニル》の前に敗北し、試練の突破は失敗。その一方で、クレイ側は月の民と幻真獣についての調査を開始した。
この時期、安息の地に根付いていた龍樹の種が《ゼフィロシィド》に変質、そのまま成長を続け新たなる龍樹が誕生していたことが発覚している。バヴサーガラはこの本質を確認するため封焔軍全軍を率いて安息の地を訪れ交戦、龍樹が調和を求めていることを理解しその師となることを買って出た。
これにゾルガが異を唱え、再度の意思確認を申し入れたが、ここで運命力の還流により現世に帰還していた《魔宝真竜 ドラジュエルド・イグニス》?が龍樹を諭していたことが発覚。この一件を経て、ドラジュエルドは虹の魔石の所有者である以上に、龍樹が唯一恐れる最強の存在として認知され、注目が集まっている。
後にレザエルは月の試練への再挑戦を行い、《奇跡の幻真獣 リフィストール》を覚醒させたことで突破に成功した。これに先立つ形でヴェイズルーグがヴァルガ=ドラグレスに接触、何らかの頼み事をしたことが確認されているが、後にその内容は彼を含む運命者、宿命者たちの情報ネットワークを利用してクレイで発生している異変を調査するためだったことが明らかになった。
調査結果はケテルサンクチュアリにて「虚無の先兵」の発生頻度が上がっている程度であり、目立った異変はなかったが、これを受けたヴェイズルーグはレザエルに月の門と幻真獣の行動目的について、その一部を開示した。
彼ら幻真獣は、「赫月病」という月が罹患する病を追っていた。この病を発症した月は赤く染まり、その波動を受けた本星の生物は自我を失う、人格が変質する、衝動を増幅され凶暴化するなどの異変に見舞われてしまう。さらに赫月病は不治の病であり、これを治療する術は見つかっていない。
だが、クレイの第一の月は一度赤く染まったものの、不可逆であるはずのその変化が解けて元の白い輝きに戻っている。ヴェイズルーグはこれを最大の異変と捉え、現代のクレイにおける医療の第一人者であるレザエルを頼ったのである。
同時期、ヴェルストラの仲立ちでケテルサンクチュアリに龍樹の植木が持ち込まれ、オールデンとの会談の結果、外星からの脅威に対してブラントゲートを含めてゼフィロギィラとの協力体制を結ぶことが決定。
さらにエンジェルフェザーに保護されていたリィエル=オディウムは、ギアクロニクルの遺構と運命力が生み出した機械構造「リィエル=アモルタの卵」を守っていたが、何らかの機会を得たことでブラグドマイヤーのもとを訪れ、「卵」を託している。この「卵」と呼ばれる物はリィエル=アモルタと「別の未来」におけるリィエルの意志を複合した、限りなく(本物の)リィエルと同じ存在である《聖なる時の運命者 リィエル=ドラコニス》の帰り路として「孵化」。帰還した彼女はレザエルを通じて赫月病への対処に加わることになった。
その後、ドラコニスを迎えたレザエルは《樹角獣皇 マグノリア・パトリアーク》と会うためにストイケイアを訪問。この直前のタイミングでヴェイズルーグは《楽園へ導くもの ナナクリル》が支配する異空間「真宵楽園」と邂逅しており、この異空間と赫月病についてマグノリアに尋ねたところ、ストイケイアを中心に「真宵楽園」の出没が増加していること、宿命決戦の際にマグノリアだけが第一の月と遊星ブラントが両方とも赤く染まったのを目撃したという。これにより改めて協力体制が締結された。
ほぼ同じくして《調停の封焔 バヴサーガラ・アークシャイア》はダークステイツにて赫月病に関する情報収集の一環としてドラジュエルドを訪問。彼は生と死の狭間の世界をさすらう中、(地球/惑星「E」側の)自らの先導者と邂逅しており、カードファイトを経て《魔宝竜皇 ドラジュエルド・マグナス》へと覚醒を果し、「今こそ手を携え共に歩もう」と、レザエルを中心として再び動き始めたクレイの運命と向き合うべく、バヴサーガラの協力者として参戦することを宣言。
この中でリフィストールが《救護の翼 ソエル》に伝えた懸念の中には「ドラジュエルドのもとに突然現れた『霧の中の魔獣』」の存在が。
老竜のねぐらであるダンジョン内に霧と共に現れ、消える謎の存在。現実からも夢からも侵入できないはずの、魔宝竜の迷宮に容易く出入りする敵…それが、彼が以前目撃した「光る霧」と同じものであれば、幻真獣たちの到来に前後して活動が活発化した「悪意」と何かの関わりがある疑いが強い。
しかしながら、龍樹までも加わって異変の調査と解決に乗り出したにもかかわらず、月の陣営もクレイ側も決定的な情報を得られずにいた。龍樹の襲来に際してそれを迎え入れた「悪意」については未だにその正体が全く掴めていないし、星刻姫の一派はあくまでもクレイにおいて龍樹に共感したに過ぎず、彼女らではありえないのである。
善きにせよ悪しきにせよ事態が停滞する中、数か月前に帰還したばかりのリィエル=ドラコニスが姿を消してしまい…。
関連リンク [編集]